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『ブラッディと祐実さんのせいでってどういうことだよ』
コウが言った。
『ブラッディと交わった祐実さんの体を闇妖怪が抱いた、それで人間の姿にそうですね』
天狐が言った。
『はい…』
ブラッディは頷いた。
『祐実さんの体に異変が起きているみたいですね』
『闇妖怪に殺られそうな俺を助けてくれた祐実は反対に闇妖怪に殺られそうになった…その時、祐実の体が光を放ち闇妖怪を吹き飛ばしたんです』
『光を放った…もしかして…』
天狐は銀と紫の剣を出現させ手に掴んだ。
その時、巫女の服に着替えた祐実と歩と光太が戻ってきた。
天狐は祐実に近づき『祐実さん、この剣を掴んでみてください』と言って差し出した。
『はい…』
剣を受け取った祐実の体が光り始めた。
『お父さん!』
歩達は驚いた。
それから暫くして祐実の髪と瞳が銀と紫の色に変わりお尻に尻尾がはえた。
そして光が消えた。
『何で驚いた顔で俺を見るんだよ』
『祐実…』
ブラッディは祐実に近づき剣を掴んでいる手に触れた。
その時、ブラッディの髪と瞳が銀の色に変わった。
『天狐様!』
『妖怪と人間が本気で愛し合い交わった、祐実さんは妖怪の力を得てその姿に…ブラッディも力が目覚めその姿に』
『お父さん』
歩は祐実に近づき抱きついた。
『こんなお父さん嫌か?』
『別に嫌じゃない』
『歩』
祐実は剣を持ったまま歩を抱き締めた。
『コウとグレンも力が目覚める可能性がある』
天狐はコウとグレンを見つめた。
『俺も…』
コウは両手を見つめた。
『コウはもう銀の髪に瞳じゃないか』
歩の言葉に天狐が口を開いた。
『コウとグレンもそうだけど目覚めているのに力がない…そして歩さん、あなたも目覚めようとしている金の力が』
『金の力?』
『銀の力は祐実さんが…金の力は歩さんが…』
『天狐様、妖怪と交わったから祐実は銀の力を手に入れ…神に…』
ブラッディは天狐を見ながら言った。
天狐は無言のまま頷いた。
黙っていた祐実が天狐に問いかけた。
『歩が金の力を目覚めさせれば、闇に勝てるんじゃないのか』
『闇を封印するには銀と金の剣じゃないと駄目だ、その剣を出現させることが出来るのは君と歩さんだ』
天狐は交互に祐実と歩を見た。
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