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『今は話す気分じゃないだろ』
コウが言った。
『力のない光太君と闇に乗っ取られたグレンがなぜ襲われたんだ、お前は知りたいと思わないか』
『そりゃあ知りたいけど、今はいいだろって言ってんだ』
『やめろ!』
光太は立ち上がり言い争っているコウとブラッディに怒鳴った。
『光太』
歩も立ち上がり光太を見つめた。
『祐実さんを手に入れるために闇の力を手に入れたのに俺を好きになったから闇妖怪にやられたんだ…俺に力があったらグレンさんを守れたのに…』
光太は気を失い倒れた。
『光太!』
歩は光太の体を支えながら上半身を起こした。
ブラッディは光太の手首を掴み脈を見た。
『心配はいらない、眠ってるだけだから』
『良かった』
歩はほっとした。
その頃、祐実と茜は毒にやられた傷口に苦戦をしていた。
『毒にやられてるから手強いわね』
『…茜さん、俺…』
祐実は傷口から出た毒の煙に吹き飛ばされた。
『祐実さん…』
よそ見をした茜も毒の煙に吹き飛ばされた。
『……』
毒にやられているはずのグレンは気がつき立ち上がった。
『グレン…まだ治療が終わってないのに動いちゃ駄目よ』
立ち上がった茜はグレンに近づいた。
『光太はどこにいる』
『まだ終わってないの、グレン座って』
『……』
グレンは槍の蔓を拾いその槍の蔓を茜の横腹に突き刺し抜いた。
『茜さん!』
祐実は倒れた茜に近づき体を支えた。
グレンは槍の蔓を持ったまま部屋を出て隣の部屋のドアを開け中に入った。
『グレン!』
グレンに目を向けたブラッディとコウは異変に築いた。
『光太、グレンさんが』
『……』
歩に支えられていた光太は目を覚まし体を起こした。
『光太君』
『グレンさん』
嬉しそうな顔で立ち上がった光太はグレンの元に行こうとした。
その時、『駄目だ!』と言ってブラッディは光太の腕を掴んだ。
『離してください』
『今のグレンは君の知ってるグレンじゃない』
『何を言ってるんですか』
『祐実と茜の治療は失敗したんだろ、今のグレンは闇のグレンだ』
『そんな…』
光太は悲しげな顔でグレンを見た。
『光太君、おいで…ここにいたら闇妖怪に見つかる』
グレンは手を差し出しながら光太に微笑んだ。
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