俺、狙われてます

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『ごめんなさい、俺、グレンさんの側にいたいから』 ブラッディの手を離れさせると光太は差し出されたグレンの手を掴み寄り添った。 『光太…』 歩は悲しげな顔で光太を見つめた。 『歩、ごめんな…俺、グレンさんが好きなんだ、俺には力がないけどグレンさんの側にいたいんだ』 『行くぞ』 『うん』 光太はグレンと共にその場から姿を消した。 『祐実、茜…』 ブラッディは部屋を出て隣の部屋に行くと祐実が茜の傷の治療をしていた。 『祐実…グレンにやられたのか』 『毒の力が強すぎてグレンさんを助けられなかった』 治療をしながら祐実が言った。 『……』 『光太君は大丈夫』 『グレンとどこかに行ったよ』 『……』 治療を終えた祐実はブラッディに近づいた。 『茜は大丈夫なのか』 『傷が浅かったから俺でも治療が出来た、すぐに目を覚ますよ』 『そうか、良かった…茜は俺が見てるから祐実は歩の側にいてやれ』 『うん』 祐実は部屋を出て隣の部屋に行った。 歩は祐実に駆け寄った。 『お父さん…光太がグレンさんとどこかに行っちゃった…』 心配をする歩を祐実は抱き締めた。 『神になっても人を助けることが出来ないなんて…情けないよ』 『そんなことないよ、お父さんは一生懸命やってくれた』 歩は祐実の顔を見た。 『そう言ってくれると助かるよ』 『光太、大丈夫かな』 『心配しなくても大丈夫だと思うよ』 『なぜ、そう思うんですか?』 コウが口を挟んだ。 『闇に落ちても茜さんを傷つけてもグレンさんは正気だったような気がします』 祐実ははっきりと答えた。 その後、部屋にブラッディと茜が現れた。 そしてブラッディ達はグレンを始末する話を始めた。 『グレンさんを殺すなんて駄目だ』 歩は怒鳴った。 『歩!』 『闇に汚れてもグレンさんは正気だ、光太が側にいればそれでいいんだ…そんなグレンさんを殺すなんて駄目だよ』 歩は涙を流しながら言った。 『俺も歩と同じだ、殺すなんて賛成できない』 コウは歩を抱き寄せながらブラッディと茜に言った。 『俺も賛成できない』 祐実も歩を守った。 『祐実、お前まで』 『お願いします、グレンさんと光太君をそっとしといてやってください』 祐実はブラッディに頭を下げた。
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