俺、狙われてます

40/86

32人が本棚に入れています
本棚に追加
/86ページ
『すべてを見ていたのなら俺のことも』 『見ていたから知っている、グレン、指輪を見せてみろ』 『……』 グレンは銀色の狐の前に指輪を差し出した。 銀色の狐は指輪を見ながら『グレン、この指輪を光太の左手の薬指にはめるんだ』と言ってグレンを見た。 『なぜ、光太に』 『彼も歩や祐実と同じ力があるからだ』 『光太に!』 『グレン、お前が闇に完全に落ちなかったのは光太のお陰だ…大切にしろよ』 『はい』 『何かあったら念じなさい、助けに行くから』 銀色の狐は光と共に姿を消した。 その頃、光太は家の近くのスーパーで買い物をしていた。 『何がいいかな…』 品物を見ていた光太の側に銀色の長い髪の男性が近づいてきた。 『光太さんですか?』 『はい…』 光太は男性を見つめた。 『あなたに渡したいものがあるんですが』 『何でしょうか』 『ここではちょっと…』 『トイレに行きましょうか』 『屋上に行きましょう』 男性は光太の手を掴み屋上に行った。 ースーパーの屋上ー 男性は手を離し光太を見つめた。 『渡したいものがあるって何ですか?』 持ってきてしまったカゴを地面に置くと光太は男性を見た。 『力を引き出す力です』 男性は光太を抱き締め銀狐の力を与えた。 『…あの…』 『急にごめんね』 男性は光太から離れ微笑んだ。 『何もないなら俺、行きます』 『待ちなさい』 『何ですか』 光太は怒った口調で言って男性を見た。 『俺の名は銀狐の神、君を抱き締めたのは力を与えるためだ』 『力?』 『歩と祐実のように金の力、銀の力が使えるようになる』 『その力があれば、闇妖怪からグレンさんを守れる…』 光太は嬉し涙を流した。 『光太、君にこれを授けよう』 銀狐の神は銀の玉のブレスレットを光太の左手首にはめた。 『これは?』 『君の力になってくれる銀の玉だ』 『ありがとうございます』 ブレスレットを見つめ顔をあげた光太は誰もいないことに驚いた。 『……』 その後、光太はスーパーで買い物をし家に帰っていった。 同じ頃、歩は金の神に目覚めた。 ー光太の家ー 『遅くなってごめん、すぐに料理を作るから』 光太は荷物を持ったままキッチンに行った。 グレンは無言のままキッチンにいる光太に近づき背後から抱きついた。
/86ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32人が本棚に入れています
本棚に追加