俺、狙われてます

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『どうしたんですか?』 『俺の前に銀狐の神が現れたんだ』 『え!』 光太は振り返りグレンに問いかけた。 『いつ現れたんですか』 『光太が出掛けてちょっとしてからだけど何で?』 『スーパーで会ったんです、銀狐の神に…これをもらいました』 光太は左手首にはめている銀の玉のブレスレットをグレンに見せた。 『これは銀狐の神だけが持つ銀の玉のブレスレットだ』 『何でそんな大事なものを俺に…』 『君が持つに相応しいと思ったから授けたんじゃないのかな』 『……』 光太とグレンは銀の玉のブレスレットを見つめた。 『そうだ、銀狐の神がこの指輪は君がはめろって』 グレンは銀の指輪を光太の手のひらに置いた。 『はめる場所はどこの指でもいいのか』 『左手の薬指だって』 『……』 光太は銀の指輪を左手の薬指にはめた。 その時、銀の指輪が光り始め光太の姿が銀の長い髪に変わった。 グレンは驚きで言葉を失った。 『グレン…』 『ブラッディ達の所に行こう』 グレンは不安そうな顔で見つめる光太の手を掴み家を出ていった。 狐像がある部屋に集まっているブラッディ達の前に銀色の狐が現れた。 『銀狐の神』 ブラッディとコウと茜は頭を下げた。 『挨拶はいい、それよりここにグレンと光太がやって来る…力になってやってくれ』 銀狐の神は姿を消した。 『力になってやってくれってどういうことだ』 コウの言葉に歩は不安を感じた。 それから暫くして部屋にグレンと銀の長い髪の光太が現れた。 歩達は光太の姿に驚いた。 『グレン、何があったんだ』 ブラッディはグレンに問いかけた。 『わからない、俺がはめていた指輪を光太がはめたら姿が変わったんだ』 『お前がはめていた指輪って』 『あぁ、闇の指輪だ』 『黒が銀に変わってる』 光太の左手の薬指にはめている指輪とブレスレットを見ながらブラッディは驚いた。 『歩さん、光太さんと隣の部屋に行っててくれるかな』 『……』 歩はコウを見た。 コウは無言のまま頷いた。 『わかりました、光太、行こう』 歩は光太を連れて部屋を出ていった。 『まさか彼が銀狐の神に銀の玉のブレスレットを授かるとは思わなかったよ』 『俺もだよ…』 ブラッディの言葉にグレンも口にした。
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