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『仰向けで寝かせて』
『はい』
祐実の指示でコウは歩を仰向けで床に寝かせた。
『治療を終わるまで歩の手を握ってて』
『はい』
コウは歩の手を優しく握った。
祐実は両手を歩に向けながら目を閉じ集中した。
すると両手から光が現れ弱った歩の体を治し始めた。
数分後、目を覚ました歩は祐実に目を向けた。
『その髪…お父さんも闇にやられた者を愛したから長い髪に…』
『…歩…光太君のことは俺に任せて今はゆっくり休みなさい』
『…はい…』
歩は目を閉じ眠った。
祐実は立ち上がり『コウ、歩のことを頼みます、何かあったら知らせてください』とコウに言った。
『任せてください…祐実さん…』
『……』
祐実はコウに目を向けた。
コウは立ち上がり『無事で歩のところに戻ってきてください…歩の悲しむ顔はもう見たくないから』と真剣な顔で祐実に言った。
『約束します、無事で光太君を連れて歩のところに戻ります』
祐実は部屋を出ていった。
光太は闇によってグレンがいるビルの屋上に連れてこられた。
グレンは振り返り光太を見つめた。
『光太、さっきは悪かった』
『グレン』
『おいで』
グレンは両手を広げ光太に微笑んだ。
『グレン!』
光太は駆け寄りグレンの腕の中に飛び込んだ。
グレンは光太を抱き締めた。
『グレン、俺と一緒に歩達のところに帰ろ』
『光太、闇妖怪が作る神社で俺と暮らさないか』
『え…』
光太はグレンを見つめた。
グレンは光太を見つめながら『嫌か?』と言った。
『嫌じゃない…嫌じゃないけど…』
光太はグレンから離れ悲しい顔をしながら背を向けた。
グレンは背後から優しく光太を抱き締め『俺を好きじゃないのか』と言った。
『好きだ、けど』
『けど何だ』
『今のグレンは完全に闇に落ちてる…そんなグレンは嫌だ』
『……』
グレンは光太を振り向かせた。
『光太、今の俺を好きになるようにしてやる』
グレンは光太を抱き寄せ唇を重ねた。
『んん…』
光太はグレンの口づけを受け入れながら感じた。
グレンは唇を離し火照った顔の光太を見つめた。
『グレン…』
『光太、愛してる…』
グレンは光太の衣服を脱がせ体をゆっくりと倒すと体を重ねた。
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