俺、狙われてます

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コウは歩の前に立ち手に力を込めると銀の剣を掴んだ。 『……』 『あの女が作った数珠か』 戦う力が残っていないココは諦めてその場から消えていった。 歩は倒れている光太に駆け寄り呼び掛けた。 『光太…目を覚ましてくれ…光太…』 歩は目を覚まさない光太に涙を流した。 『俺のせいで…』 『泣くな、歩…茜なら彼を救える』 『本当に』 『あぁ、だから泣くな』 コウは微笑みながら手で歩の涙を拭った。 ドキッとした歩は『ありがとう』と言ってコウから顔をそらした。 『歩』 『え!…』 歩はコウに立たされ抱き締められた。 『あの…』 『コウだ』 『え?』 『俺の名前だ』 『コウさん…』 コウに抱き締められ歩のドキドキは更に高鳴った。 暫くしてコウの腕から解放された歩は身なりに驚いた。 『全裸だったのに制服を着てる、いつの間に…』 『抱き締めているとき魔法で服を着せた』 『ありがとう、コウさん』 『……』 コウは光太を抱きかかえ歩を見た。 『歩、俺の服を掴め』 『はい』 歩はコウの銀の服を掴んだ。 コウは集中し茜がいる神社を探した。 数分後、神社を見つけるとコウは歩と光太を連れて姿を消した。 ー狐神社ー 部屋で茜は狐の像の前でコウと歩の無事を祈っていた。 『狐様、コウと歩さんの無事をお願いします』 茜は目を閉じ手を合わせると祈った。 その時、コウ達は神社の前に姿を現した。 『ここは…』 『歩、こっちだ』 コウは光太を抱きかかえたまま廊下を歩き茜を呼んだ。 部屋で祈っていた茜は立ち上がりドアを開くと廊下を歩いているコウを呼び止めた。 『コウ』 『茜、こいつを助けてくれないか』 『彼は?』 『歩の大事な友達なんだ、頼む』 『…わかりました…こちらへ』 離れたところで心配そうに見つめる歩の姿を見て茜はコウに狐の像がある部屋に光太を運ばせた。 『像の前に仰向けで寝せて』 『わかった』 コウは狐の像の前に近づき光太をおろしながら仰向けで寝かせた。 『あとは私に任せて』 『頼むぞ』 コウは部屋を出てドアを閉めた。 『コウさん、光太、大丈夫かな』 『茜に任せておけば大丈夫だ』 『俺のせいで…光太や皆が…』 歩は涙を流した。 『お前が20歳になるまで待とうと思ったが、慰めてやる』 コウは歩の腕を掴み部屋に連れていった。
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