俺、狙われてます

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『祐実、大丈夫か』 バリアで尖った蔓を防ぎながら言った。 『大丈夫だ』 『…グレン、しっかりしろ…グレン…』 光太はグレンの胸から流れる血を手でとめながら涙を流した。 祐実は光太の手の上に手を置き力を込めるとグレンの傷を治した。 『これで大丈夫』 『グレン…』 『目を覚ますまで側にいてあげて』 祐実は金と銀の剣を掴み立ち上がると闇妖怪を睨んだ。 『……』 ブラッディは闇妖怪の攻撃をバリアで防ぎ続け体力がなくなってきた。 『ブラッディ、ご苦労様、あとは俺に任せてくれ』 祐実は金と銀の剣を握りしめながら集中し力を込めた。 『何だ…』 攻撃を止めた闇妖怪は高まっている祐実の気に驚いた。 『お前だけは許さない』 祐実の背中に金と銀の羽根がはえ宙に浮いた。 『祐実!』 バリアを解いたブラッディは上を見た。 『金狐の神と銀狐の神の力を受けつぎし神か』 闇妖怪も宙に浮き祐実を見た。 そして祐実と闇妖怪の最終決戦の戦いが始まった。 『祐実…』 ブラッディは心配そうに祐実を見つめた。 光太は立ち上がり苦戦している祐実に『頑張れ、負けるな、祐実さん』と叫びながら応援した。 『うあああ…』 祐実は力を込めながら闇妖怪の攻撃を交わし闇妖怪の心臓に剣を突き刺すと離れた。 闇妖怪は苦しみながら地面に倒れ灰となって消えた。 その瞬間、グレンと光太の闇の気が無くなり銀狐の力も無くなった。 祐実は地面に降り立ちブラッディに駆け寄ると抱きついた。 『祐実、頑張ったな』 『…ブラッディ…』 ブラッディの顔を見つめ安心した祐実はふらつき地面に倒れた。 『祐実!』 ブラッディは祐実の上半身を支えながら起こした。 『気を使いすぎただけだから休めば体力は戻る』 祐実の手首に触れながらグレンが言った。 『そうか…』 『俺達はここにいるから祐実さんを部屋に運んできたら』 『あぁ』 ブラッディは祐実を抱きかかえ部屋に連れていった。 『グレン』 光太はグレンに近づき手を握った。 『光太も銀狐の力が無くなってるな』 『グレンも…』 光太は悲しい顔をした。 『そんな顔をするな』 グレンは光太の頬に触れながら笑みを浮かべると頬に口づけをした。
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