俺、狙われてます

60/86

32人が本棚に入れています
本棚に追加
/86ページ
『でき損ないの妖怪と一緒にしないでくれ』 『俺に近づくな』 祐実は近づいてくるユウトから一歩ずつ後ろにさがった。 『見つけたわよ』 黒い羽根をはばたかせながら柚子は降り立ちユウトに近づいた。 『何しに来たんだよ』 『ユウトを迎えに来たのよ』 『俺を構うより金と銀の剣を探せ』 『やっぱり、俺に近づいたのはそれが目的か…お前ら闇妖怪の仲間か』 祐実はブラッディに知らせようとブレスレットを掴んだその時、ユウトに腕を掴まれ地面にブレスレットを落とした。 『離せ』 『……』 ユウトは祐実の唇にキスをした。 『んん…』 ユウトから離れようともがく祐実はだんだんと力が抜け眠りについた。 ユウトは祐実を抱きかかえ黒い羽根を広げると『柚子、戻るぞ』と言ってユウトは飛んでいった。 柚子はムッとした顔で宙に浮くと羽根をはばたかせながらユウトのあとを追いかけた。 ー廃墟ビルー 『兄貴と柚子、どこに行ったんだ』 透は椅子に座り眠った。 暫くして祐実を抱きかかえたままユウトと柚子が戻ってきた。 『柚子、透を起こせ』 ユウトは祐実を隣の部屋に運びベットに寝かせると逃げられないように両手首を紐でベットに縛った。 『……』 ユウトは部屋を出て柚子と透がいる部屋に行った。 『透、起きて…透…』 柚子はなかなか起きない透の体を何度も揺らした。 『まだ起きないのか』 ユウトは机の上に座り指を鳴らした。 透は椅子から倒れ目が覚めた。 『何が起きたんだ…兄貴…もしかして兄貴の仕業か』 『なかなか起きないお前が悪い』 『いつもそうだ、兄貴…』 『文句ならあとで聞いてやる…それより透、金と銀の剣を使う者を手に入れた』 『よく見つかったな』 『透…』 ユウトは透を隣の部屋に連れていった。 『……』 つまらない柚子は羽根をはばたかせ飛んでいった。 透は眠っている祐実を見ながら『本当にこいつが闇妖怪を倒したのか』と言った。 『今は力をおさえているが力を発揮すれば…お前も見たろ』 『見たけど…』 『透』 ユウトは透を部屋から連れ出した。 その頃、ブラッディは歩の家に来ていた。 『祐実のやつどこに行ったんだ』 『俺の家に来るなら連絡してくれれば迎えに行ったのに』 『……』 ブラッディは落ち込んだ。
/86ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32人が本棚に入れています
本棚に追加