俺、狙われてます

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『お待たせ』 お茶が入った2個のコップを持ってきた祐実は床に2個のコップを置いた。 『ありがとうございます』 コウは座りコップを掴むとお茶を飲んだ。 『コウ君は知らないかな、ブラッディがどこに行ったか』 祐実の言葉にコウが答えた。 『知ってますよ』 『本当に…教えて』 『知り合いに会うって言ってました』 『知り合い?誰かわかる?』 『それはわかりません、すぐに戻ると言ってたから心配しないでください』 『そうですか…』 祐実は座り立ったままの歩に顔を向けた。 『立ってないで歩も座ってお茶を…』 『お父さん!』 歩は祐実の両肩を掴みながら悲しい顔で見つめた。 『どうしたんだ、歩』 『ブラッディを助けに行こう、お父さん』 『助けにって…』 『歩…やめろ』 コウは歩を祐実から離れさせた。 『何でだよ、コウ…』 『コウ、ブラッディの行き場所を知ってるなら教えてくれ』 祐実は立ち上がりコウを見た。 『ブラッディはユウトに会いに行ったんです』 『ユウト…』 『祐実さんを誘拐した男です』 『俺のせいだ、俺が…あんなこと言ったから…』 祐実は部屋を出て金と銀の羽根を広げると飛んでいった。 『お父さん…どうしよう』 『俺達は力がないんだ、ここで待つしかないな』 『…ごめん、俺が余計なこと言ったから…』 『お前のせいじゃない気にするな』 コウは落ち込む歩を優しく抱き締めた。 祐実は廃墟ビルの前に降り立ち中に入った。 そして祐実はユウトと向き合って話をしているブラッディの姿を見た。 『さすが最強の妖怪ユウトだな、祐実の力に目をつけた』 『ブラッディ…祐実を俺にくれよ』 『何をふざけたことを』 『祐実から聞いたんだろ、俺に抱かれたって』 『……』 ブラッディはユウトの顔を殴った。 その時、隠れて見ていた祐実が『ブラッディ!』と言ってブラッディに駆け寄った。 『祐実!何でここに』 『帰ろう』 『まだ話があるんだ、祐実、先に帰れ』 『いいから、俺と一緒に…』 ブラッディの腕を掴み引っ張った祐実は意識を失い倒れた。 『祐実!』 ブラッディは祐実の上半身を支えながら起こした。 『……』 『祐実、どうしたんだ、祐実』 『俺の力にやられたんだろ』 地面に座ったままユウトが言った。
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