俺、狙われてます

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『弱った体で来るから…』 ブラッディは祐実を抱きかかえながら立ち上がるとユウトを見て言った。 『祐実をお前に絶対渡さない、お前から守ってみせる祐実と金と銀の剣を』 ブラッディは祐実を連れてその場から消えていった。 ユウトは地面に倒れ眠った。 その頃、柚子は透と一緒に公園のベンチに座っていた。 『信じらんない男とセックスするなんて』 『兄貴を庇う訳じゃないけど、兄貴があの男に惹かれたのわかるよ』 『何でよ、男よ』 『俺だって抱きたいと思った』 『……』 柚子はベンチから立ち上がった。 『どうしたんだ』 『1人になりたいからついてこないでね』 柚子は羽根を広げ飛んでいった。 『ほっとけないよな』 ベンチから立ち上がった透は光太と歩くグレンの姿を見かけた。 『グレン…そうか人間と暮らしてるんだったな…』 透はグレンと光太の後ろに近づき声をかけた。 『金狐と銀狐を守る者が今じゃ人間と暮らしているとはな』 『……』 グレンと光太は足を止め振り返った。 『透…何でここに…』 グレンは透の出現に驚いた。 『闇妖怪を倒して平和になったと思ったら大間違いだぞ』 『どういう意味だ…まさかお前ら…』 『自分の目で確かめてみたら、じゃあな』 透は羽根を広げ飛んでいった。 『光太、神社に行こう』 グレンと光太は走って神社に向かった。 ー狐像がある神社ー 門の前に祐実を抱きかかえたまま姿を現したブラッディは部屋に向かって歩いた。 その時、部屋のドアが開き歩とコウが出てきた。 『お父さん』 『祐実さん、どうしたんだ』 『ユウトが放つ気にやられたんだ』 ブラッディは歩がひいた布団の上に祐実を仰向けで寝かせた。 歩は祐実の側に座り心配そうな顔で見つめた。 『お父さん…』 『歩、心配しなくてもすぐに目を覚ますから』 ブラッディは歩の肩に触れた。 『俺のせいで、お父さん』 『…コウと話があるから祐実を見ててくれないか』 『……』 歩は頷いた。 『コウ、隣の部屋で話そう』 ブラッディとコウが部屋を出てドアを閉めるとグレンと光太が息を切らしながら現れた。 『グレン、光太、何でここに』 『さっき最強妖怪の透に会った、何かあったんじゃないのか』 グレンはブラッディを見つめた。
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