俺、狙われてます

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歩と光太は見つめ合い頷くと歩が答えた。 『反対しない、その代わり俺達も手伝う…いいよね』 『あぁ、俺達も反対しない』 『俺達が幸せに暮らせるのも、兄貴と祐実さんのお陰だ…今度は俺達が兄貴と祐実さんを助け幸せにするんだ』 グレンの言葉にコウと歩と光太は頷いた。 『もう一度、皆で頼んでみよう』 『思いを伝えるんだ』 『そうだな』 コウ達は部屋を出てブラッディと祐実の元に行った。 『お父さん、今いいかな』 歩は声をかけ祐実とブラッディは離れた。 『どうしたって…グレンさん、光太君も来てたのか』 『……』 歩とコウとグレンと光太は祐実に近づき正座で座った。 『何だ、どうしたんだよ』 祐実は皆の真剣な顔に微笑んだ。 『まさかお前ら祐実に頼むんじゃないだろうな』 皆の真剣な顔を見てブラッディが口を開いた。 『兄貴は黙っててくれ』 怒った口調でグレンが言った。 『ブラッディ…』 祐実は口に指をあてブラッディに静かにしろと合図した。 祐実に注意されたブラッディは立ち上がり壁に近づくと座り壁にもたれた。 『大事な話があるんだろ』 祐実の言葉でコウが口を開いた。 『今の祐実さんなら俺達に力を戻すことができます、お願いします、俺達に力を戻してください』 コウ達は祐実に頭を下げた。 『せっかく幸せに暮らしているのに、どうして力が欲しいんだい』 『闇妖怪では俺達、祐実さんに助けられました…だから今度は俺達が祐実さんを守ります…歩と光太も承知してます…』 コウ達は顔をあげ祐実を見た。 『力が戻るということは危険も訪れる、いいのか歩、光太君』 祐実は交互に歩と光太を見た。 『はい、承知してます』 真剣な顔で歩と光太は答えた。 『わかりました、力を戻します』 『祐実!』 ブラッディは立ち上がり祐実を見た。 『ブラッディ、話しはあとだ…今から4人に力を戻すから廊下で待っててくれないか』 『……』 ブラッディは機嫌悪そうに部屋を出て行った。 祐実は正座のまま狐像に体を向けた。 『それでは今からコウと歩とグレンと光太に力を戻します…4人とも目を閉じて』 祐実は両手を合わせ狐像を見つめた。 コウと歩とグレンと光太は目を閉じた。 暫くして4人の体に力が戻った。 合わせている両手を解くと祐実は正座のまま振り返り4人に目を開けさせた。
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