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その頃、歩とコウとグレンと光太はそれぞれの家に向かっていた。
『歩、これ』
歩きながら光太は金と銀の指輪を差し出した。
歩きながら指輪を受け取った歩は『どうしたんだこれ』と言いながら指輪を見つめた。
『ブラッディが作ったんだって、左手の中指にはめろよ』
光太が言った。
歩は歩きながら金と銀の指輪を左手の中指にはめた。
その時、歩は立ち止まり指輪の思いを感じた。
『俺も同じだ、約束するよ、お父さんを悲しませるようなことはしないと』
歩は指輪を見つめながら言った。
『誰と話をしてんだ』
立ち止まり振り返ったコウとグレンと光太は歩を見つめた。
『お前らは感じなかったのか指輪の思いを』
『歩は感じたから指輪と話をしてたのか』
『そうだよ…指輪が言ったんだ、お父さんを悲しませたくないと、だから俺は指輪と約束をしたんだ、お父さんを悲しませるようなことはしないと』
歩の言葉でコウとグレンと光太は指輪をじっと見つめた。
そしてコウとグレンと光太は指輪の思いを感じた。
『歩の言う通り、指輪が語りかけてきた』
驚きながら光太が言った。
『俺もだ』
『俺も』
コウとグレンも言った。
『口に出さなくても心の中でちゃんと返事をしろよ』
『……』コウとグレンと光太は無言のまま指輪と心の中で語った。
『…ん?…』
何かを感じた歩は上に顔を向けた。
『コウ、あの女の人、知ってるか』
歩は宙に浮いたまま睨み付ける柚子を見つめた。
コウは歩の目線の先を見つめ『柚子!』と言った。
『羽根がはえてる、それに軍服姿』
『最強妖怪の柚子だ』
『コウとグレン、力が戻ったのね』
柚子は歩達の前に降り立った。
『歩』
『光太』
コウは歩の前に立ち、グレンは光太の前に立った。
『祐実に会いに来たの、案内してくれないかしら』
『お父さんに何のようだよ』
歩はコウの側に並び柚子を見た。
『あんた祐実の子供なんだ』
歩を見つめながら柚子は蔓を手に掴んだ。
『歩』
コウは歩を後ろに下がらせた。
『邪魔をしないでくれるかな』
柚子は蔓を掴んだままコウに放ちコウは傷つき倒れた。
『コウ!』
歩はコウの体を支えながら上半身を起こした。
『光太、歩を連れて逃げろ』
グレンは勝ち目のない柚子に向かっていき柚子の蔓にやられ倒れた。
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