俺、狙われてます

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『じゃあ、行くぞ』 ブラッディとグレンとコウは羽根を広げ宙に浮くと柚子と透の気を追いながら飛んでいった。 神社にたどり着いた祐実は降り立ち門を潜ると歩と光太を呼び出した。 『歩、光太君』 『……』 部屋から出てきた歩と光太は祐実に駆け寄った。 『コウとグレンは?』 『無事だよ、怪我を治してきた』 『それでコウは?』 『さあ?、俺はブラッディに早くコウとグレンの無事を知らせてやれと言われたから急いで帰ってきたんだ』 『お父さん、光太とここにいて』 『どこに行くんだよ』 『ブラッディ達の様子を見てくる』 歩は小さな声で光太の耳元で言った。 『わかった、気を付けろよ』 『お父さんのこと頼むな』 『わかった』 光太は小さな声で答えた。 『すぐ戻るから、光太と一緒にいてね』 『わかった、気を付けて行動しなさいよ』 『うん』 歩は神社の門を潜り暫く歩くと羽根を広げ飛んでいった。 『祐実さん、中に入りましょうか』 『そうだね』 祐実と光太は部屋に入っていった。 『じっとしてても退屈だから、一緒に料理でも作らないか』 『喜んで…俺、料理作るの得意だから教えますよ』 『本当、頼むよ』 祐実と光太は部屋を出てキッチン部屋に行った。 その頃、歩は空を飛びながらブラッディ達の気を追いかけた。 それから暫くして、歩は宙に浮いたまま立ち止まっているブラッディ達の姿を見つけ近づいた。 『お父さんを先に帰らせたのはこれが目的だったんだな』 『歩!』 コウとグレンとブラッディは歩を見た。 『祐実はどうした』 『光太と一緒にいる』 『コウ、歩を連れて帰れ』 ブラッディの言葉に歩はイラッとし口を開いた。 『コウより役に立つと思うけど』 『何だと』 『本当のことだろ』 『何度も闇妖怪から助けてやったのに、そういうことを言うのか』 止まらないコウと歩の言い争いにイライラしてきたグレンは怒鳴った。 『うるさい静かにしろ』 『…ごめんなさい…』 グレンに怒鳴られコウと歩は静かになった。 『大きな声を出すな、ばれるだろ』 『ばれてるよ』 羽根をはばたかせながら透と柚子が現れた。 ブラッディは振り返り透と柚子を見た。 『お前らの尾行なんてばればれなんだよ』 透は笑みを浮かべながら言った。
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