俺、狙われてます

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『お待たせしました』 光太とグレンはテーブルに近づき人数分の皿と鍋をテーブルの上に置いた。 『歩、食べるぞ』 コウは突っ立ってる歩に声をかけた。 『うん』 歩はコウの隣に座った。 祐実達は両手を合わせ『いただきます』と言うと食事を始めた。 ー廃墟ビルー 『透と柚子のやつどこに行ったんだ』 イライラしているユウトの前に長い黒髪に軍服姿の男が現れた。 『何をイライラしてるんだ、ユウト』 『レン様!』 『透と柚子はどうした』 レンは椅子に近づき座った。 『さあ?…どこに行ったのか…』 『何だ喧嘩でもしたのか』 『……』 『それともお前に好きな人が出来たとか』 『え…』 ユウトは頬を赤らめ顔をそらした。 『図星か…』 レンは椅子から立ち上がりユウトに近づいた。 『……』 ユウトはレンの顔を見つめた。 『お前が惚れた女はどういう女だ』 レンはユウトのおでこに手をあて心の中を探った。 するとユウトが祐実を抱いている光景が現れた。 『女じゃないな、お前が惚れたのは男か、しかも金狐と銀狐に選ばれた男か』 レンはユウトのおでこから手を離した。 『……』 レンから心の中を探られユウトは少しふらついた。 『大丈夫か』 『はい…大丈夫です…』 ユウトは倒れかけレンに受け止められた。 『全然大丈夫じゃないじゃないか』 レンはユウトを抱きかかえ隣の部屋にあるベットに仰向けで寝かせた。 そしてレンは部屋を出て隣の部屋に戻ると透と柚子が帰ってきていた。 『2人で何をしてたんだ』 『レン様!』 透と柚子は驚きながらレンを見た。 『どうしてここに?』 『妖怪達に何かあったんですか』 『お前達の様子を見に来たんだ…それより柚子』 『はい』 『ライバルが現れたみたいだな』 『……』 レンの言葉に柚子は無言になった。 『さっきユウトの心の中を探った…柚子…』 レンは柚子の顎を掴んだまま目を見つめた。 『……』 柚子はレンに見つめられ両目の瞳の輝きが無くなった。 『柚子、ユウトが惚れてる男を俺に会わせてくれないか』 『なぜですか?』 『ユウトが好きなんだろ』 『はい』 『俺がユウトを取り戻してやる、だから俺の前に連れてこい…場所は…』 『わかりました』 『……』 レンは柚子の顎から手を離した。 『レン様』 『柚子、待ってるからな』 『はい』 柚子は羽根を広げ神社の方に飛んでいった。
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