俺、狙われてます

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『レン様、柚子を操るなんて酷いじゃないですか』 透は怒った口調でレンに言った。 『伝説の金と銀の剣が現れたそうだな』 『…はい…』 『その剣の使い主は誰だ、ブラッディか』 『違います、祐実です』 透は水晶で祐実の姿をレンに見せた。 『この男はユウトが抱いてた男じゃないか』 『この男が金と銀の剣で闇妖怪を倒したんです…闇に落ちていたブラッディの心も救った…』 『闇に落ちた者の心を救った男か…ますます会ってみたくなった』 レンは水晶にうつる祐実の姿を見つめながらニヤリと笑った。 『レン様』 『透、隣の部屋でユウトが寝ている、様子を見てこい』 『…はい…』 水晶を椅子の上に置くと透は隣の部屋に行った。 『柚子1人じゃ大変だな、手伝いに行くか』 ビルから外に出たレンは羽根を広げ宙に浮くと柚子の気を探りながら飛んでいった。 その頃、透は眠っているユウトの顔を見つめていた。 『どうして兄貴とレン様はあの男に興味を持つんだ』 『お前だって狙ってただろ』 目を覚ましたユウトは透を見た。 『俺は独り者だ、兄貴は違うだろ』 『柚子には悪いと思ってる』 『悪いと思うなら柚子の元に戻ってくれよ』 透の言葉にユウトは上半身を起こし口を開いた。 『それは出来ない』 『何でだよ』 『お前も祐実の体を抱けば俺の気持ちがわかるよ』 『そんなものわかりたくもない』 透はユウトに背を向けた。 『レン様は、まだいるのか』 『隣の部屋にいる』 『そうか…』 ユウトはベットからおり隣の部屋に行った。 『レン様…いない…』 ユウトは透のところに行った。 『レン様がいないどこに行ったんだ』 『レン様がいない?』 『手分けして探すぞ』 『わかった』 『見つけたら知らせろよ』 ユウトと透はビルの外に出て飛んでいった。 その頃、祐実達は楽しい食事をしていた。 『料理が出来る男は良いよな』 料理を食べながら歩が言った。 『コウ君に作ったことないのか』 『あるよ、卵焼き』 『味は?』 『不味かったです』 コウの言葉に笑いが起こった。 その時、ブラッディが立ち上がった。 『急にどうしたんだ』 祐実の言葉にブラッディは真剣な顔で言った。 『柚子の気を感じる、祐実を頼むぞ』 ブラッディは部屋を出て宙に浮いている柚子を見つめた。
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