俺、狙われてます

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『ああ…』 『祐実…もう駄目だ…』 激しく腰を揺らしながら体を重ねたレンと祐実は感じ気を失った。 レンは祐実から離れながら立ち上がると乱れた軍服の服をなおした。 祐実は上半身を起こし落ちている金と銀の巫女の服を拾うとその巫女の服を着て立ち上がった。 『…俺の体を奪って気が済んだろ、俺を皆のところに帰してくれ』 『それは出来ない』 レンは祐実に近づき顎を掴んだ。 『……』 『言ったろ、お前は俺の妻になるんだ』 『……』 祐実は顎を掴んでいるレンの手を払い除け言い放った。 『俺はブラッディを愛してる、お前の妻なんてならない』 『ここにいれば、俺を好きになるさ』 『その前にブラッディが助けにくるさ』 『どうかな』 レンは笑みを浮かべ祐実から離れると森の中を歩いていった。 『あいつのあとを追えば森を抜けるかも』 祐実は見つからないようにレンのあとを追った。 ー狐像がある部屋ー 『祐実…』 ブラッディは落ち着かずうろうろした。 『ブラッディ、心配しなくても祐実の居場所はわかってる』 『…本当ですか!…』 ブラッディは金狐の神の顔を見た。 『本当だ…闇の森だ』 『闇の森…』 『レン様の森だ』 ユウトと透が現れた。 『お前ら、何でここに』 コウとグレンは睨みながらユウトと透を見た。 『柚子のことで来たのか』 ブラッディが口を開いた。 『柚子の死を感じた』 『ブラッディ、お前が殺したのか』 ユウトの言葉に金狐の神と銀狐の神が口を開いた。 『俺達が殺った』 『柚子はレンに操られ可哀想な子だ』 『だから成仏させた』 金狐の神の言葉のあとに歩が口を開いた。 『彼女、優しい笑顔で成仏していきました…その笑顔を見て俺は感じました、苦しみから解放されてほっとしたんだと、だからあんな優しい笑顔で成仏していったんだ…』 『レン様の森に入れるのは強い心の者だけだ』 『兄貴、まさか』 『ブラッディ、レン様の森に連れていってやる』 ユウトはブラッディを見た。 『兄貴、正気か』 『あぁ、俺は正気だ』 ユウトは透を見た。 『透、お前はここにいろ』 『兄貴、レン様を裏切るのか』 『レン様にとって俺達は道具だ』 『それが何だよ』 『そのせいで柚子は死んだ…俺は許せない』 『…兄貴…』 透は怒りながら握りこぶしを作るユウトを見つめた。
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