俺、狙われてます

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『祐実さん…』 ユウトは上半身を起こした。 祐実は両手をおろしユウトに『助かって良かった』と言うとブラッディに駆け寄った。 『祐実…脈が弱くなってる』 『そのまま握ってて』 祐実は両手をレンのお腹にあて力を注ぎ込んだ。 『……』 ユウトは立ち上がり祐実に近づいた。 祐実は力を注ぎ込みながら『死んだら駄目だ、生きるんだ』とレンに言った。 『…生きる…』 レンの弱っていた脈が正常に戻り始めた。 『祐実、弱っていた脈が正常に戻り始めてる』 レンの手を握りながらブラッディが言った。 『そうだ良いぞ、戻ってこい』 祐実は光を注ぎ込み続けた。 それから暫くして、レンが目を覚ました。 『ブラッディ…』 レンはブラッディを見つめた。 『助かって良かった』 ブラッディはレンから手を離した。 レンは上半身を起こし『俺は闇から解放されたのか』と言って祐実を見た。 『あぁ…君も普通の生活が…』 力を使い果たした祐実は倒れた。 『祐実!』 ブラッディは祐実に駆け寄り体を支えながら上半身を起こした。 『俺達のせいで力を使い果たしたんだな、すまない』 レンとユウトは悲しげな顔をしながら謝った。 『お前達のせいじゃないからそんな顔をするな…それより皆が待ってる帰るぞ』 ブラッディは祐実を抱きかかえながら立ち上がった。 『帰るって、俺はここを離れられない』 『心配するなこの森は俺達が守ってやる』 金狐と銀狐が現れた。 『……』 レンとユウトは立ち上がり金狐と銀狐を見た。 『祐実のお陰で助かった命だ、大切にしろよ』 金狐の言葉にレンとユウトは頷き涙を流した。 『ブラッディ、祐実、レン、ユウト、元気でな』 『金狐の神と銀狐の神も元気で』 『ありがとう…さようなら…』 銀狐の神は魔法でブラッディと祐実とレンとユウトをその場から姿を消した。 そしてブラッディと祐実とレンとユウトは狐像がある部屋に姿を現した。 『お父さん!』 『歩み、布団を敷いてくれ』 『はい』 歩は布団を狐像がある前に運び布団を敷いた。 ブラッディは祐実を布団の上に仰向けで寝かせた。 『お父さん…』 心配そうに見つめる歩にブラッディは歩の肩に触れながら言った。 『力を使い果たして眠ってるだけだ、ゆっくり体を休めば元気になる、心配するな』 『うん』 歩は祐実の手を握った。
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