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「悪い、イタチ。ちょっと用を思い出したから行ってくる。みなさん、ごゆっくり」
俺は京野を追いかけようと、イタチ達にお別れを言うと、京野の匂いを辿っていく。彼女の身の回りには、遠くからでも分かるほどの邪気の臭いが漂っている。
道標のように残る臭いを追いかけていくと、途中でルゥの姿を発見する。どうやら黒猫は食事中のようで、闇の妖をボリボリと貪っている。
『あ!ゆ…ショウ!見ろよこいつら。この辺、低級妖がわんさか沸いてるんだせ?おかげでオレはもう満腹だ』
ルゥはいかにも満足げにすっかり膨れて大きくなった腹をポンっと叩くと、久々にありつけたご馳走(闇の妖)を皿まで舐めつくす勢いで、最後の一口を口に放り込んだ。そして、重い足取りでフラフラと俺の足元まで来ると、ちょこんとお座りし、俺を見上げている。どうやら次の指令を待っているようだ。
「今ここを通り過ぎた女性がいなかったか?おそらくルゥが食した低級妖は、彼女の邪気に惹きつけられたのだと思う」
『あー………そういえば髪の長い陰気な女があっちの路地裏に駆けて行ったような。そいつがターゲットなんで?』
「ターゲットなのは間違いないと思う。京野舞依と呼ばれていたので、夢主の舞希と舞依が双子なのも間違いない。低級妖が惹きつけられる程度の邪気だから、まだ危機がさほど近いとも思えないがー」
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