紅蓮と雷鳴

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ただでさえ得意ではない女性が生息する場所……… 女性にあまり免疫のない俺からしてみれば、未開の地にやってきた開拓者のような心持ちにさえなる。 それだけで俺は失礼ながらも大きなため息をついてしまう。とは言え、目的はターゲットを知ること。苦手だからといって、この場から尻尾を巻いて逃げるわけにもいかない。何より、女性慣れしているイタチもウサもいるし… 2人に話しかけようと隣を見ると、そこにいるはずの男子2人はすでに俺とユキさんを置いて、校舎内に吸い込まれるように消えていくところだった。 《まじかよ…頼りにしてたのに。仕方ないな》 イタチの後ろ姿に“相変わらずね”と呆れ顔を向けるユキさんに軽く会釈をし、俺は少しでも早くこの場を離れたい思いで 「ユキさん、早速でごめん。ご友人のところまで案内してもらえる?」 と告げる。女子高の校門前で大の男がじっとしていると、いらぬ誤解をされそうだからである。実際、男子3名の訪問に気づいた女子生徒達の悲鳴が聞こえ始めた。 まずい………早くも帰りたい………
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