夢見探偵事務所（Case1-Case3）

紅蓮と雷鳴

ユキさんが百合からの話を通訳し、要約すると次のようなことらしい。

現在高校2年生である京野舞依には舞希という双子の姉がいたが、3年前に亡くなってしまったということ。

亡くなった姉舞希は快活で誰とでも仲良くできるタイプで、舞依は正反対の性格をしており、いつも姉の背中に隠れるような人との接し方をしていたということ。

それでも舞希が生きていた頃は、それなりに周囲との交流もあったらしいが、亡くなった後には舞依は誰とも口を利かなくなってしまったということ。

高校に上がってからは、誰1人として舞依の笑顔を見たことがないということ。

よく教室の隅で辞書を片手に、ブツブツと知らない言語を話したりする姿が目撃されていること。

いじめられているわけではないが、誰もが敬遠する女性が舞依のようだ。

「ざっとこんなところかな」

ユキさんが通訳し満足げに俺に笑顔を向けるも、俺は直接百合という女性に質問することもできないこともあり、難しい顔をして考え込んでしまう。