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「おい待て。私は話が済んでないからな。やたら女子達が騒いでると思ったら…案の定お前のせいか。なんで女子高にお前がいるんだ?」
1度捕まったら一ノ瀬は気が済むまで離す気もないだろう。第一、一ノ瀬の掴んだ腕からビリビリと痺れる感覚が流れ込んでくるので、この不快な衝撃に抗うのにも疲れる。
俺が観念して振り向くと、一ノ瀬の腕がやっと離れる。きっと後からひどい筋肉痛に悩まされるんだろうな。
「ここで話せる内容じゃないから、場所変えないか?ここで騒いでいたら、先生や生徒達も来てしまいそうだし。何よりー」
《一ノ瀬こそ、彼女に“あの”話は知られたくないだろう?》
俺は一ノ瀬にしか聞こえない思念波で話しかける。
一ノ瀬は図星を突かれたらしく、俺に返事をするまでもなく、百合の額にキスをしユキさんに非礼を詫びて、教室を出て行ってしまった。俺も教室に残された2人に会釈をすると後に続く。
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