【Case1】 魂を2つ宿す者

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ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「………はや…風早(かざはや)!」 耳元でドスの利いた低音が響き、俺は思わず飛び起きる。周囲ではクラス中が揺れるほどの笑い声と、目の前には呆れ顔のクラス担任がいた。 「風早、お前なあ。いくら授業聞く必要がないって言ってもなあ、帰りのホームルームくらい起きて聞いててくれよな」 「あ…すいません。最近やたら眠くて。成長期かな?」 「(しょう)!それ以上デカくなる気かよっ」 隣の席のウサが突っ込むと、クラス中がまた笑いに包まれる。先程の夢とは正反対の暖かい空間に、俺はほっと胸を撫で下ろす。 俺は【風早蒼(カザハヤ ショウ)】高校1年生の16歳。純日本人なはずなのに、なぜか栗色の髪の毛と光に透かすと青く見える瞳を持っている。顔立ちは…ご想像にお任せする。 中学までは整列するときは前から数えた方が早い位置に並ばせられていたのに、中学3年に入った途端ぐんぐんと身長は伸び始め、ついには185cmを超えそうな勢いである。 さらにサッカー部の副部長をしているが、怪我を理由に長期休部をしている。 光明神社(こうみょうじんじゃ)宮司(ぐうじ)の次男として生まれたが、その血筋のせいで昔から(あやかし)や幽霊などこの世成らざるものが見え、見えないものを挙げる方が簡単なくらいだ。
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