13人が本棚に入れています
本棚に追加
俺は風早蒼という人間の肉体に、蒼自身と【夢喰(ユメクイ)】という魂を宿している。
この夢喰という生命体は、俺が6歳のときに俺の体に降ってきたのだが、お互いの存在を認識したのはつい最近のことだ。これを“魂の融合”と呼ぶらしい。
夢喰には困っている人の未来の運命が【予知夢】として見える。なぜなら、夢喰は【夢の番人】であり、すべての人(たまには動物や魂が宿った物でさえ)の夢を管理しているから。その中から、特に“不条理な運命”によって生命の危機に陥りそうな“善良な魂”が選定され、【夢の信託】を受けるのだという。
予知夢は夢主の目線で見えるので、俺はこの夢を見るたび生きた心地がしない。だってそうだろう?ほとんどの夢は死の予知夢で、毎回“文字通り”死ぬ思いをするのだから。
さっきも、ホームルーム中に居眠りをしてしまったのは、予知夢を見ていたからだ。
まもなく、俺の相棒が俺を呼びに来るだろう。
『夢喰様、私めの出番でしょうか?』
ほら、来た。漆黒の髪と両翼と、碧色に輝く瞳を持つ美しい少年…いや、黒猫の【ルゥ】が俺の相棒だ。
ルゥの本名は【Ludwig Wahnlicht(ルードヴィヒ ヴァンリヒト)】。長いのでルゥと呼んでいる。
最初のコメントを投稿しよう!