【Case1】 魂を2つ宿す者

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《ルゥ。ここは夢の中ではないし、見た目も今は蒼だから、蒼と呼んだらいいよ。敬語もいらない》 俺は黒猫の(あご)の下を()でながらそう言うと、ルゥは心底驚いたとばかりに美しい碧眼(へきがん)をこれでもかと見開くと 『えっ…よろしいんですか!?では、遠慮なく…ショウ。ショウ!!!うんうん♪しっくりきた』 と呼び、楽しそうに踊り出す。 ルゥは【夢式神(ゆめしきがみ)】であり、別名【夢前案内人(ゆめさきあんないにん)】とも呼ばれている精霊で、夢の番人の夢喰とは数百年前から一緒に過ごしている。しかし、俺はこの2人の出会いや、融合前の活動内容を知らない。夢喰が体に宿ってから(俺が6歳のときから今現在)の記憶は共有しているのだが、それ以前の記憶は謎のままなのだ。 (知識は必要に応じて頭に流れ込んで来るし、夢喰時代の記憶も少しずつは共有しつつある) 『で、ショウ♪んー…やっぱりくすぐったいな。予知夢見たんだよな?今回はどんな予言だった?』 《今回は夢は鮮やかだったんだが、ターゲットはちょっとはっきりしないんだよな。舞希という子らしいんだが、この子はすでに“亡くなっている”》 『へ…!?手遅れだったってことか?夢喰様…ショウの能力で手遅れなんて聞いたことねえぞ!?どういうことだ?』
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