魂の浄化

10/11
12人が本棚に入れています
本棚に追加
/80ページ
舞希の背後に、ぼうっとほのかに光っていだたけの存在が、影となって現れる。その存在は、認識されたことで本来の形を取り戻し、朧(おぼろ)げながらも生前の舞依の姿を映し出す。 {お姉ちゃん。舞希ちゃん} 舞依の弱々しい声が舞希に聞こえているかは分からない。(一ノ瀬には少なくとも聞こえていないようだ) それでも、舞依が現れてから舞希の成れの果てとなった魔物は、嬉しそうな表情を浮かべている。 {舞依ね…お姉ちゃんが舞依のために怒ってくれて嬉しかったよ。舞依の代わりに生きてくれてることも嬉しかった。けど、復讐なんてして欲しくないよ。人を憎んで欲しくない。だって、お姉ちゃん…舞希ちゃんは人が大好きなんだもん} そして、朧げな光を放つ舞依が、俺に懇願してくる。 {お願いです。舞希ちゃんは自ら命を絶つことは…舞依…私を殺めることだと思ってできなかっただけなの。だから、魔物になることで…あなたに断罪してもらいたくて…こんな姿に。闇に堕ちたことは赦されないのは承知で、お願いします。せめて…舞希ちゃんを楽にしてあげてください}
/80ページ

最初のコメントを投稿しよう!