第1章

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中学生活最後の日、黒板に向かい立っている僕を呼ぶ声が聞こえふと振り返る。 「お~~い!ヒサ~!集合写真撮るからこっち来いよ!」 そう言葉を放ったのは、家が隣で幼馴染みの熊谷佳哉(くまたによしや)。 「うん。今行くよ。」 僕は少し冷たく返事をし皆が待つ体育館へと歩いた。 体育館へ向かう途中、僕の肩に手を回して幼馴染みが言ってきた。 「俺らもついに卒業かぁ。なんか大人になったよなぁ!まぁ変わらず高校でもよろしくな!」 「うん!よろしくね!」 と、言った後に 「よろしくもなにもないだろ。はぁぁぁ。」 心の中で愚痴と溜息を放った。 僕が住むこの相田町は三重県の中でもかなりの田舎町。 卒業するほぼ全員が同じ高校に通う。 嫌いではないが好きな町ではない。 毎日が同じ事の繰り返しで飽き飽きしていた。 幼い頃はアウトドアで公園の砂場が好きだった自分もいつしか冷めたインドア小僧になっていた。 ふと自分の過去を振り返っているうちに体育館についた。 ドアをくぐると僕等2人を除いた卒業生65名が待っていた。 「おせぇーぞー」 「はやくはやく~」 皆の声が飛び交う中 「ごめんごめん佳哉がトイレ行っててさぁ」 「おい!ウソつくなよ~!」 体育館は笑い声でいっぱいになった。 笑い声のなか手を叩く音が響いた。 「はいはい!その辺にして写真撮るぞー!」 先生が放った。皆は返事をしてあっという間に写真撮影は終わった。 その日の帰りは仲の良かった友人達5人と思い出話や将来やりたい事などの話で盛り上がった。 「じゃあ、僕達はこっちだから。」 そう言った僕に続いて佳哉が言った。 「じゃあ皆また高校でなぁ~」 皆に手を振りながら佳哉と家に向かった。 あっという間に家に着き、 「またな!」 と言われ頷き、手を振り返し家に入った。
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