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「……うん」
「俺は立派な男になる。執事としてじゃなくて、梨緒を支えられる夫として。雪音梨緒のパートナーとして」
まるで未来を誓ってくれているように聞こえた。
すごく嬉しくて涙が出そうになる。
「俺が立派になって梨緒が本当に当主になると決まったら……」
コツんと額と額が交わったと思えば、至近距離で琉生に見つめられる。
恥ずかしくて顔が真っ赤になったと思うけど、今は離れたくなかった。
そっと琉生の背中にあたしも腕を回す。
「俺と結婚してください」
琉生のプロポーズの言葉にあたしはついに涙を流してしまった。
こんなに嬉しい気持ちになったのは初めてだ。
大好きな人と未来の約束をできることが、こんなにも嬉しいことなんてあたしは知らなかった。
「はい…!もちろんっ」
涙で濡れながらも一生懸命笑顔を作って琉生に答える。
すると、苦笑いしながら指でそっと涙を拭ってくれた。
そのまま琉生は顔を近づけてきて、そっと唇が重なる。
まるで結婚式の誓いのキスのようだった。
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