第1章「日常」

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あの空間で神様というじいさんと出会って数ヶ月。 俺はすっかり異世界での生活に慣れていた。 「いらっしゃい」 俺が住み込みで働かせてもらってる宿屋に客がやって来た。 ロビーにある机を拭く手を止めて、 荷物を預かるため急いで客の元へ向かう。 今回の客はちょっと金がありそうなおっさんだった。 チップとかくれねぇかな……と思いながら受け取った荷物を部屋まで運ぶ。 「この宿屋に“勇者”が泊まったって?」 客のおっさんがノシノシ歩きながら聞いて来た。 「らしいですね。 俺はその時はまだここで働いてなかったんで、 残念ながら会った事も、 見た事すら無いんですよ」
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