僕のヒヤシンス

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「そうね…」 先輩は少し俯くと、顔をあげて息を吸った。 先輩は、口を開く。 そして、先輩が話し終えた時、突然吹いた突風で、ヒヤシンスの花瓶が落ちて割れた。破片が散乱して、折角綺麗だったヒヤシンスは落ちた衝撃で紫の花びらを散らした。 「……あぁ…そっか………」 僕は先輩を、先輩は僕を。先輩の目には、僕の姿が映る。 「あ…あぁ……」 僕の目から、更に涙が零れる。 分かってたよ。建前の予想とは別の、心の奥底で。現実と予想は、いつだって裏腹だ。 ………さよなら、ヒヤシンス。 〈さよならヒヤシンス 完 〉
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