雪乃 SIDE(1)

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ずっと欲しかった自分だけの城を手にし、しばらくは幸せだった。 でも、すぐに何かが足りないと感じ始めた。 答えはアタシが一番良く分かっている。 アタシが幼い頃からずっと欲しかったもの。 『愛情』 偽物でも、その場限りでもいい。 アタシの存在を欲し、認め、包んで欲しい。 最初の相手は職場の先輩。 初めての彼氏。 初めての男。 体を求められた時も、抵抗はなかった。 必要とされる事に喜びを感じた。 気持ちよくも、絶頂を感じる事もなかったけれど、そんな事はどうでも良かった。 アタシの名前を呼び、体温をお互いに分け合いながら求められてる現実が、ただ、ただ嬉しかった。 だけど。 一ヶ月も経たずに別れを告げられた時、「お腹のアザが気持ち悪い」と捨て台詞を吐かれた時は心を殺された気がした。 また、過去の闇に引き戻される、そんな気がした。 自分ではどうする事もできない、黒い烙印。 忘れたくて。 自分を保っていたくて。 すぐに代わりの男を求めた。 この日を境に、アタシは暗闇の中でしか、自分をさらけだせなくなった。
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