4人が本棚に入れています
本棚に追加
ずっと欲しかった自分だけの城を手にし、しばらくは幸せだった。
でも、すぐに何かが足りないと感じ始めた。
答えはアタシが一番良く分かっている。
アタシが幼い頃からずっと欲しかったもの。
『愛情』
偽物でも、その場限りでもいい。
アタシの存在を欲し、認め、包んで欲しい。
最初の相手は職場の先輩。
初めての彼氏。
初めての男。
体を求められた時も、抵抗はなかった。
必要とされる事に喜びを感じた。
気持ちよくも、絶頂を感じる事もなかったけれど、そんな事はどうでも良かった。
アタシの名前を呼び、体温をお互いに分け合いながら求められてる現実が、ただ、ただ嬉しかった。
だけど。
一ヶ月も経たずに別れを告げられた時、「お腹のアザが気持ち悪い」と捨て台詞を吐かれた時は心を殺された気がした。
また、過去の闇に引き戻される、そんな気がした。
自分ではどうする事もできない、黒い烙印。
忘れたくて。
自分を保っていたくて。
すぐに代わりの男を求めた。
この日を境に、アタシは暗闇の中でしか、自分をさらけだせなくなった。
最初のコメントを投稿しよう!