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徹平と付き合って一年。
最近、なんとなく徹平の様子がおかしい。
いや、本当はもっと前から違和感を感じていた。
出勤前の、おはようのメールがいつの間にか来なくなった。
LINEをしても、何日も既読にならず、放置されるようになった。
電話を掛けても、繋がらない事が多くなった。
それでも、疲れてるんだろうと自分に言い聞かせ、探るような事はしなかった。
会えば、いつもの様にアタシを求めてくれる。
温かな体温でアタシを癒し、包んでくれる。
初めて、アタシを受け入れてくれた人。
失いたくない気持ちが、現実から目をそらさせた。
アタシの気持ちとは裏腹に、数日後、徹平から別れを告げられた。
「好きな子ができた」
シンプルな言葉だった。
予想していた現実。
受け入れられない現実。
それでも、責めてしまえば徹平はアタシから去ってしまう。
一度手にした愛情を失う事など耐えられない。
「二番目でいい。彼女を大事にしてあげて」
心にもない嘘をついた。
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