雪乃 SIDE(1)

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サラリーマンの父親と、専業主婦の母、二つ下の妹がアタシの家族。 正確には、『家族だった人達』 小さい頃から、何故かアタシだけがのけ者だった。 理由は分からない。 聞けば、うるさいと殴られた。 同じ事をしても、妹だけは誉められた。 みんなが笑いながら楽しそうにテーブルで食事をしている側で、アタシだけが床に皿を置かれ、手づかみで食べさせられた。 おかずもご飯もぐちゃぐちゃに混ぜられた残飯のようなご飯。 お風呂は一週間に一度だけ。 毎日、清潔でシャンプーのいい香りをまとっている妹が羨ましかった。 洋服も靴も買ってもらえず、冬も薄い長袖と親指に穴の開いたスニーカーで学校に通った。
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