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高校を卒業すると同時に、アタシは逃げ出す様に家を出た。
ボストンバッグひとつだけ抱えて、寮付きの会社に就職をした。
周りがオシャレや恋に夢中になっている中、生きて行くのに必死だった。
少ない給料を切り詰めながら、毎月、わずかなお金を貯金に回した。
誰にも気を使わず、誰の監視も受けず、人間らしく生活していけるアタシだけの場所。
それを手に入れる為なら何でも出来る気がしていた。
働き始めて五年。
二十三歳の夏。
コツコツ貯めた百万円を手に、アタシは築四十年の古い鉄筋コンクリートのアパートの三◯三号室を借りた。
六畳一間の1K。
アタシだけの城。
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