心は移植できるのか

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心は移植できるのか

なぜ人は死んでしまうのでしょう? それは当然、人間も生物だからです。 生物である以上、必ず死は訪れます。 それが、老いによるものなのか、天災や事故によるものなのか、あるいは人の手ーー場合によっては自分自身ーーによるものなのかは分かりませんが、生物として生きていけないレベルの損傷を身体が受けてしまえば、人は生きてはいられません。 これは覆しようのない事実です。 この避けようのない死に対する一つの救いは、死してなお生き続ける「関係性」の存在でした。 (中略) しかし、これには次のような声が聞こえてきそうです。 「『関係性』だけ生き残っていても意味ないんだよ。生き残っていたいのは『この自分』なんだよ」 言いたいことはもっともだと思います。 実際、「関係性」が救うのは、あくまで「生きている人」だけなのです。 「関係性」は残された人の心を癒したり、自己の存在価値、生きる目的を与えたりはしてくれますが、人が死ぬことそれ自体をなくしてくれるわけではありません。 これは、お葬式は生きている人のためのものであるという話に似ているかもしれません。
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