熱帯植物街

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その夜。ぼくはまた、サイバーゴーグルで、インターネットテレビを見ていた。 あの後、松川みどりこと、フローラとは、話す機会もなく、一日が終わった。 けれども、振り返って、ぼくといとちんにウィンクをしてきた所をみると、ぼくらに気づいてない訳でもないらしい。 テレビでは「小中学生連続失踪事件」の特番が組まれていて、トロピカルプランツとの関連が、盛んに取りざたされていた。 「失踪した子供たちは、どうしてこのような行動に出たのでしょうか? トロピカルプランツとの関連が盛んに叫ばれていますが…」 女性キャスターが、ゲストの精神科医にたずねた。 「トロピカルプランツとの関連は…やはり、私はあると思いますね」 精神科医は、少し禿げ上がった頭を撫ぜながら言った。 「トロピカルプランツには、コンピュータウィルスの侵入した形跡が確認されています。そのウィルスがトロピカルプランツと結びつけられた子供たちの脳に侵入し、子供たちを失踪へと駆り立てた。こうは考えられないでしょうか?」 「なるほど。しかし、サイバネティクス社は、事件との関わりを一切否定しています。鈴村先生は、どう思われますか?」 女性キャスターは、もう一人のゲストである、教育評論家にたずねた。 「確かに電脳技術は、私たちにとって、身近なものとなりました。電脳技術なくして、もはや私たちの生活は成り立たないと言ってもいいでしょう」 教育評論家は、そこで一呼吸おいた。 「しかし、トロピカルプランツ。あれは馬鹿げたお遊びだ。そこから生まれるものは、単なる逃避でしかありません」 まずいな、とぼくは思った。トロピカル?プランツが標的にされている。 そうこうしているうちに、八時になった。 約束の時間だ。 ぼくは、サイバーゴーグルのモードを切り替えて、トロピカルプランツにログインした。
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