イタズラ電話

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 その後、すぐに俺は登録していた公衆電話の番号を消した。どんな形でも、イタズラをされるのは気分が悪いと思ったし、何より、この番号を登録したままにしておくことが気持ち悪かったのだ。  番号を抹消し、今まで驚かせた人、ごめんなさい。イタズラはもうしませんと心に誓った。これで総てが終わった…筈だった。  それから数日。スマホに着信があったので見てみると、そこには見知らぬナンバーが表示されていた。  間違い電話だろうと思い、流そうとしたが、ふと、その番号に意識が引かれた。  もう一度電話番号を見返す。はっきりと覚えている訳ではないが、これは確か…電話ボックスの番号ではなかっただろうか。  背筋に冷たいものが走った。でも、そんな筈はないと、理性が精一杯状況を分析する。  アパート前の電話ボックスを利用してイタズラをしている奴がいる。そいつが、凄まじい程の奇跡的確率で、俺のスマホに電話してきた。  それだけだ。何もおかしいことはない。  強引に導き出したその考えを無理矢理信じ込み、俺はこの着信をうやむやにした。…だけど。  部屋にいる時、また、件のナンバーから電話がかかってきたのだ。  今なら犯人が誰か判る! そう意気込んで着信音が鳴っている間にカーテンを開いたけれど、電話ボックスの中に人影は存在していなかった。  電話の主は何者なのか。いったいどうやって、電話ボックスに入ることなく電話をかけることができたのか。…いいや、そもそも、電話の主は生きている人間なのか。  もろもろの答えは結局出ず、俺は翌日、スマホを解約した。  …あれから数年。  機械が不得手いうことにして、俺は携帯電話というものを持ち歩かない生活を続けている。  だけど文明がはびこりまくった現代で、電話というツールそのものを手放す言葉はできない。  最低限の妥協で家に置いている固定電話。かけてくる相手のナンバーディスプレイなど表示されないけれど、この電話が鳴るたび、 あの公衆電話からイタズラではないかと、俺は肝を冷やしている。 イタズラ電話…完    
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