第1章

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譜面がとても苦手な僕ですが、最近はそれでも書いたり読んだりしていますので以前よりはよくなっています。真っ黒なモノリスを前に、譜面の前で為す術なく立ちすくんだいくつもの苦い思い出が走馬灯のように駆け巡りました。だけど、もうあの頃の僕じゃない。 今日の演奏スポットは加茂市の加茂山公園でした。そのモノリスには小林幸子さんの「雪椿」の歌詞と譜面が刻み込んであり、吸い込まれるように僕は、譜面を凝視していました。 もしもここが大観衆を前にしたステージで、一枚の譜面が渡されて、今まさにこの通りに演奏しなければならない。としたら。大観衆は一人残らず「雪椿」を期待している。絶対に間違えられない。キーは♭が3つある。Cmだ。よし。吹こう。 いきなり間違えた。ん?よく見ると♭が4つだった。Dが♭するんだった。なんかインド映画のバラードみたいになった。よし。もう間違えは許されない。ん?なんだこりゃ?16分音符?ん?大観衆が一人、また一人と立ち去っていきます。 と、こんな感じで小一時間雪椿だけを吹いたり吸ったりしてまいりました。軽く50回は吹いたでしょうか。数えてませんので分かりません。とうとう最後まで通してうまく吹けませんでした。 それでも、だんだんよくなっていったはずだ。僕は確かに譜面を読もうと食らいついていった。その時間は後で効いてくる。続けていくしかない。 それから!この遠藤実大先生直筆の「雪椿」の譜面に重大な間違いが一箇所あります。E♭とあるがそこはD♭じゃなきゃいけない。多分遠藤実大先生には誰も突っ込めなかったのかもしれないね。新潟らしいといえば新潟らしい。僕はこういう新潟らしさが大嫌いなんですがこれ以上言いません。同じく新潟臭いアート作品のケツの割れ目に「ツァラトゥストラはかく語りき」を吹きかけておきました。 また明日。
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