第1章

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朝、十日町の祭り囃子の音で目が覚めました。十日町の祭り囃子は大音量の演歌に合わせて歌い手が歌ったり踊ったりするのを手拍子して周りが見守ると言うスタイルらしいです。 櫓の上はまさにハレ舞台なのでしょう。日本のすべての文化はそれぞれがハレとケに分類されます。となんかの物の本で読みました。料理も衣類も住宅も祭りの日や盆正月はハレで、それ以外の日はケと言う事になり、どうしたってハレの方が派手で印象に残る。周りにアピールするならどうしたってハレを持ってくる事になりましょう。 その点、僕のやりたい音楽はケだな。 朝食を済ませて十日町駅の西口に出るとそこにも祭りの子供神輿があり、ハンドマイクで大人のリーダーが「ユイ」「ユイ」「ユイ」と言いながら遠ざかっていきます。 そんな時、懐かしい声を聞いたんです。 「電車が入ります。白線までお下がりください…」とかなんとか言う声が正しく我らがアニキ、今日も愛してますでおなじみのFM新潟人気パーソナリティーDJミノルクリス氏の声でした。 「ウィーウィルスーンアライブなんとかホクホクライン?」とか英語のアナウンスまで入れやがって。カッコいいじゃねーか。 十日町の人にとって、DJミノルクリスの声が「ケ」としてそこにあるってのがなんか無性に羨ましくなり、嬉しくなり、悔しくもなってきたのでベンチにふんぞり返ったままスコット・ジョプリンの「エンターテイナー」の冒頭のフレーズを吹いてみました。僕はハーモニカはいつでも持ち歩いているのです! そこにぐるっと回ってまた子供神輿が「ユイ」「ユイ」「ユイ」「ユイ」って近づいて来ましたのでまあ一旦止めて、朝の風も涼しくなったもんだなんて思って、エンターテイナーを吹いて、今日の演奏ってな事にいたします。 また明日。
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