小さな王

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正直、耳タコなくらい繰り返し聞かされている話なので、ヴァルの心に響くものはない。 ヴァルとしては、「俺が直接出向いた方が犠牲少なくていいじゃん?」くらい言いたいが、言ったが最後延々と説教をされる羽目になるのが目に見えているので、何も言わずに引き下がる。 「じゃあどうすんの?」 説教をかますくらいの妙案があるのかとハロルドに水を向けるが、うぅむと唸るだけで具体策はちっとも浮かばない様子である。 ため息をついて踵を返したヴァルに「どちらへ行かれるのです!」と厳しいハロルドの声が飛んできて、ヴァルも負けじと「昼飯!」と叫び返した。
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