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きっかけは些細なことだった。
詩織(シオリ)の好きな人が、たまたまクラスのリーダー的な存在の女子生徒と同じだったことに端を発する。
「淳(アツシ)に色目使ってんじゃねーよ」
詩織は突然、トイレで同級生たちに囲まれていた。
クラスの中でも派手で、授業中にもゲラゲラと笑い声を立てるような連中である。
詩織は彼女たちを毛嫌いしていたし、お互い言葉を交わすこともなかった。
それが突然、トイレで囲まれている。
身に覚えのない理由で。
「いろ、め…?」
詩織は「色目ってなんのことですか」と聞き返したつもりだったが、出てきたのは蚊の鳴くようなか細い声だった。
「しらばっくれてんじゃねーよ。お前身の程も知らずに淳のことが好きらしいじゃん?調子乗ってんじゃねーぞブス!」
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