勇者シオリの場合

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色々とツッコミどころのある罵声だが、詩織は面と向かって罵倒されたのは初めてで、その内容より恫喝された事実に足が震えた。 「可南(カナン)、こいつめっちゃ足震えてんよウケるんですけど」 「だっせぇ」 詩織を取り囲んだグループの女子が口々に詩織を馬鹿にして笑う。 「行こ」 詩織を面と向かって罵倒した女子の一言で、詩織を囲んでいた輪は瓦解し、笑い声を上げながらトイレから出ていった。 詩織は解放された安堵感からその場にへたりこんでしまう。そこがトイレの床だろうが、今の詩織には大した問題ではない。 これが安西 可南(アンザイ カナン)からのいじめのはじまりだった。
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