ヴァルフリート

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「まぁこんなとこだな。怪我も治してもらったし、ここまで一気に転送するなんざ、すげぇな『識者』ってやつは」 蒼のダンジョンでヴァルが気絶した後のことを説明し終えたマルコが、肩をさする。 ベッドに戻ったヴァルは、フロストドラゴンの話を聞いてレーヌが無事仕事を終えたのだと知った。流石は古参である。なんならもう少し早ければマルコも怪我をせずに済んだのに、とは言うまい。 転送に関しても、初めはヴァルの魔力を無断で拝借して道をつくったから出来た芸当であることも、マルコには伏せていようと思う。 帝国兵は仲良くダンジョンに食い尽くされたであろう。 「で、ハロルドさんから聞いたんだけど、ヴァルは魔王で転生者なんだって?」 飲もうとしていた水を派手に噴いた。 「がふっ…なん…えっ?」 見事に動揺を見せるヴァルに、マルコが「あ、なんか聞いちゃまずかった?」とハロルドを振り返る。 「問題ございません」 「ないって!」 「ないわけあるかぁ!」 マルコが爆笑する一方、ヴァルはハロルドを睨み付けるが、ハロルドはどこ吹く風である。 ちなみにレーヌは泣きじゃくるリアンを宥めるために退出していた。 「はぁ…まぁいいけどよ。もう還るお前には知られても構わないしな」 苦笑したヴァルに、マルコは至って普通の口調で告げた。 「それな。俺、帰らないから」
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