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「俺のことよりヴァルのことが聞きてぇなー。この5日間、高熱でうなされるヴァルの面倒みるの大変だったんだぜー?日増しに身体は成長するしさぁ。ねぇハロルドさん?」
「その通りですな、マルコ様」
こいつらグルだな。ヴァルがそう結論付けるのに時間はかからなかった。
ダンジョンの最下層、無理に魔力を捻出したときのことを振り返る。
無我夢中でヴァルフリートに助けを求めたときに叫んだ厨二感丸出しの言葉は言わなくていいだろう。今思い出しても恥ずかしい。
「先代のヴァルフリートに力を借りた。あのとき俺の魔力は残ってなかったからな。そしたらあの野郎、俺の許容量を超える魔力をぶちこんで来やがった。それを受け入れるために身体が急成長した。そんなとこだろうな」
淡々と説明したヴァルにマルコが尋ねる。
「先代魔王って生きてんの?」
「いえ、肉体は既にヴァル様のもの。思念を残すのみですが、これもまたヴァル様にしか会えません」
しばしの沈黙の後、マルコが口を開いた。
「なるほど、だから『俺に力を寄越せ!魔王!』とか叫んでたんだな」
「うわぁぁぁぁあああ!?」
聞かれていた。
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