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「マルコ様、もっとスピードを上げなければ。追い付かれない攻撃ならば通りますよ」
「そうじゃな、大振りな技でなくてもよい。むしろ小手先の方がそやつは苦手じゃろうて」
剣を持った少年にアドバイザー2人が声をかける。
「おお、わかった!」
攻撃方法を変えたマルコに、着実に押されはじめるヴァルは、苦い顔のまま叫んだ。
「お前らどっちの味方だ!」
側近2人はにこやかに笑い、勿論主人の味方だと口にする。
「貰ったぁ!」
あまりのラッシュに追い付かず、捌くのに必死になりすぎてマルコのフェイントに気付けなかった。
「がっ!」
腰に鋭い痛みがはしり、痺れとなって広がる。
体勢を崩したヴァルに二撃目が迫る。
「させるかぁ!!」
ヴァルが叫ぶと同時に、マルコが後方へと吹っ飛んだ。
「おっ『エアリアル』じゃな」
レーヌがヴァルの放った魔法を見て、嬉しそうに目を細める。
城壁に激突せず壁を蹴って着地したマルコは相変わらず無傷である。
お互いじっと睨み合う。先に動いたのはヴァルだった。
地面が不自然に隆起し、マルコへと一直線に襲いかかる。
マルコはそれを脅威的なスピードでかわし、その距離を詰めた。
ヴァルは背後から襲いかかる剣を《レジスト》して叩き落とす。しかしヴァルは違和感を感じた。叩き落とした剣が軽すぎたからである。
(後ろかっ!)
振り返るヴァルだがもう遅かった。マルコの拳が、先程一撃を貰った箇所にめり込んだ。
「ぐっ…」
「そこまで!」
地面に膝をつくと、ハロルドから終了の声がかかった。
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