ヘイデン制圧戦

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ジストア帝国首都ヘイデン。 皇帝の居城のある要塞都市は軍事国家らしく、世界一と言われる高さの城壁がぐるりと張り巡らされ、四方に構えた重々しい門扉に、国民は安堵し、侵入者には絶望を与える。 だが人の技術の粋である城壁は、魔王軍にはなんの意味も為さなかった。 「まさか城の地下に飛ぶとはね…」 マルコは呆れ気味に呟く。 軍、と言ってもここには城に常駐しているいつもの面子、ヴァル、ハロルド、レーヌしかいない。 少数精鋭と言えば聞こえはいいかもしれないが、各地で勇者が勇者らしい振る舞いをする度に魔王軍は蹂躙される。呼び寄せる戦力などありはしなかった。 準備期間の殆どを費やしたレーヌの自信作、移動魔法陣が徐々に光を失い、やがて完全に沈黙した。 「んじゃ、行きますかね」 緊張感のない魔王の声で、作戦は開始された。
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