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魔法陣があった場所は皇帝の居城の地下、放棄された地下洞窟にあり、現状では繋がっている道はない。
大まかに上を目指して岩盤を破壊していけばそう難なく辿り着けるだろうが、兵士に囲まれるというオプションが待っている。
よってここは魔法の扱いに長けるレーヌと、魔力タンクたるヴァルに任された。
「目的地まで約300mか、用意はいいな、2人共」
マルコとハロルドが頷く。ハロルドは珍しく薄着で来ていた。これから邪魔になるからだろう。
「んじゃ、まぁ、健闘を祈るわ。…あー、無理はすんなよ」
「ヒヨッ子が一丁前に心配しておるわ!」
ヴァルの言葉をレーヌが茶化す。
「必ず戻ります故、ご心配なさいますな」
ハロルドがそう言い、頭を下げる。
それを見て、ヴァルとマルコは複雑な顔をした。
(それフラグって言うんだぜ?)
レーヌが小振りな杖を振ると、2人の足元が円形に隆起し、さながらエレベーターのように上へと押し上げていく。天井もまたぶつかる直前に円形の穴が音もなく空き、道を空ける。
「すげぇな…どうやってんだ?」
ヴァルが感心して呟くと、レーヌが楽しそうに笑った。
「お主もこれくらい使えるはずだがの」
「おぉ…マジか」
今のところ片鱗さえも見えないのだが。
「まじだ。さて、儂も向かうとする。心配はしておらんが、しくじるなよ?」
ヴァルが返事をする前に、パタンと本が勝手に閉じて姿を消した。
作戦開始。
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