ヘイデン制圧戦

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―マルコside― 「やべー早ぇ!!」 ぐんぐんせり上がる俺たちと城の中にいる奴らの視線が絡む。だが一瞬で置き去りにする。 「マルコ様、あまり乗り出すと落ちますよ」 そう言うハロルドさんを振り返り、言葉を失った。 身体はふた回りほど大きくなり、肌は赤褐色に変化して、元から大きい身体はハンパない威圧感を放っている。下顎から生えている牙を見て、俺の身体がぶるりと震えた。 鬼だ。 この人から敬語が飛び出しているのかと思うと、なんだかむず痒くなる。 ふと、土のエレベーターが止まった。ここまで城の床を5回見送ったからここは5階なのだろう。 予定より1階足りない。ヴァルの野郎。 「なんだ貴様らはっ!何処から入った?」 行き合った兵士が慌てて叫び、腰の剣に手を伸ばすが、抜くことは叶わなかった。 一撃で兵士を壁に叩き付けたハロルドさんがニタリと笑う。 「脆い。脆すぎますよ人間。少しは楽しませて下さいませんか」 見た目と言葉遣いのギャップが凄い。てかハロルドさんも温厚に見せておいてバリッバリの魔族なんだね。 「ハロルドさん、執務室はまだ上みたい」 「おや、では参りましょうか」 豪華なカーペット敷きの廊下を進むと、扉が乱暴に開いて兵士がぞろぞろと出てきた。全員武装している。詰所でもあるのか?しかしまだ階段も見付けてないのに、面倒だ。 「マルコ様、ここは私に譲って下さいませんか」 「へ?」 ここは俺が食い止める、お前は先に行けってこと?いやでも、見た感じ30人以上は確実にいるけど…。 「巻き込まずに戦うのは難しいので」 あ、そっちね。おk、把握した。 「じゃ、後で」 軽い雰囲気で分かれる俺たちを、兵士たちは一瞬呆気にとられたように見ていた。その気持ちは解るけど、ハロルドさんの前で隙つくったらそこで試合終了ですよ?
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