小さな王

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「あっハロルド様お帰りなさいー帰ってすぐに申し訳ありませんが助けて下さいー」 リアンが大きな瞳をうるうるさせて、大量に抱えた書類の山から顔を覗かせる。 「…なにがあったんです?」 ハロルドは漏れそうになるため息を堪え、ヴァルは「お帰り」を言われなかったことに多少なりともダメージを負う。 「東のシーアの森にあるダンジョンが落ちましたー人員補充の要請が来ていますが割けるところがなくてー」 リアンはふさふさした耳としっぽを震えさせて、今にも泣き出しそうである。 今しがた報告を受けた要請書に目を通しながら、困りましたね、と言う思案顔のハロルドから用紙を奪い取る。 「ありゃー手酷くやられたな。管理者と追加の人員が30か…」 ハロルドは奪ったことを咎めずに、主人の言葉を待つ。
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