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俺がオッサンに詰め寄ると、意外な答えが返ってきた。
「仕立て上げる…だと?馬鹿なことを言うな!貴様、あの忌々しい勇者の仲間だな!皇帝陛下は無事なんだろうな!?」
「…………は?」
怒りも忘れて呆気にとられてしまった。
その口振りだと皇帝が誘拐されたみたいじゃないですか。
「惚けるな、勇者の仕業だという証拠は掴んでいる!陛下を拐かした上、近衛師団を損壊させ、国の中枢たるこの城にまで!これが反逆でなくて何だと言うのだ!!」
聞いた限りでは、それは立派な反逆だ。
近衛師団にも心当たりがある。
だが、拐かしってのは、何の話だかさっぱりだ。
俺はオッサンが勝手に喚いてひけらかした情報を繋ぎあわせる。
「つまり、勇者が蒼のダンジョンに向かった後、皇帝が何者かに拐われた。そこには勇者の仕業だと示すような証拠があった。だから勇者が逗留している先の蒼のダンジョンまで近衛師団が押し掛けたってことか?」
俺が人差し指を突きつけると、「皇帝陛下と呼ばんか貴様ぁ!」とがなる。
話聞けよオッサン。
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